がん検診といえば、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんなどの部位に特化した検診のイメージを持つ方が多いでしょう。しかし個別に受けるのは時間もコストも負担に感じるかも。そこで検討したいのが「PET-CT検査」。1回でほぼ全身のがんを調べられるPET-CTについて解説します。
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全身のがんをひと目で!PET-CT検査のメリット5つ
日本人にとって国民病とも呼ばれるがん。何よりも重要な早期発見のためにも、定期的ながん検診が有用です。しかし一般的な健康診断ではすべてのがん検診をフォローできず、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんなどの部位に特化した検診を個別に受けるのはさまざまな負担が大きいと感じる方もいるかもしれません。
そんな方にこそ「PET-CT検査」、その特長とは?
1.一度の撮影でほぼ全身のがんを調べられる
CTなど他の画像検査では、脳・腹部・胸部など部位別に検査することが一般的ですが、PET-CTはドーナツ型のスキャナーに全身を通過させ、一度に撮影します。
2.X線(レントゲン)とCTを組み合わせた診断
PETとはPositron Emission Tomography(陽電子放射断層撮影)の略。X線検査では「何か」、CTでは「がんかもしれない何か」でしたが、PET-CTでは「がん細胞と思われるもの」を見つけます。
3.1cm程度の小さながんも見つけることが可能
一度の撮影でさまざまな角度の断面を取得するため、1cm程度の小さながんでもPET-CT検査であれば発見することができます。早期発見がカギとなるがん検査において大きなメリットです。
4.良性・悪性を判別できる
PET-CT検査では、見つかった腫瘍が良性なのか悪性なのか、活性している細胞なのか否かを判断することが可能です。がんの発見という初期診断だけでなく、再発や転移を診断するためにも用いられています。
5.体への負担が少ない
事前に検査薬を投与したうえで安静にした後、横になっているだけでPET−CTの機器が全身をスキャン。この検査時間は30~40分、安静時間を含めても1時間~1時間半と、非常に負担の少ない検査です。
がん細胞は「糖が好き」|PET-CTによるがんの見つけかた
PET-CT検査ではブドウ糖に似た検査薬「FDG」を使用します。これは分裂を盛んに繰り返す特徴を持つがん細胞が、正常な細胞と比較してブドウ糖を非常に多く消費する性質を利用したもの。事前に体内に投与したFDGが多く集まった部位にがんが発生している恐れがあると判断されます。
見つかりにくいがんもある!PET-CT検査のデメリット
PET-CT検査は受診者にとって多くのメリットがありますが、一方で検査の特性がデメリットにはたらく部分もあります。メリット・デメリットの両者を理解したうえで、自身の健康管理に役立ててください。
*被ばくのリスクは理解しておきましょう。
事前に投与する検査薬FDGは少量の放射線物質を含みます。しかし被ばく量はCT検査よりも低いといわれています。
*見つかりにくいがんがあることも認識を
FDGは活発に動く臓器に集まりやすいため、PET−CTは早期の胃がんや尿路系臓器のがん検査には不向きです。
*血糖値の高い人は診断精度が低くなります
PET-CT検査で用いるFDGは糖の代謝を見ているため、血糖値が高いと診断精度が低くなることが考えられます。
検査自体は30~40分◎PET-CT検査の流れ
事前準備から検査当日の流れはとてもシンプル。リラックスして検査に臨みましょう。
- PET−CT検査の5~6時間前から絶食。水分は甘さのない水・お茶のみOK。
- FDGを点滴のように注射で投入。(医療期間や受診者の状況により経口の場合あり)
- 1~2時間ほど安静にし、FDGを全身に行き渡らせる。
- PET−CT機器に横になり、全身の断面を撮影。(約30~40分程度)