DWIBS[ドゥイブス]の弱点は?|MRIの全身がん検査メリット・デメリット

DWIBSとは?

近年、メディアでも取り上げられることが増えてきたドゥイブス(DWIBS)は、MRIで全身を撮影する検査です。2020年1月には中医協より、前立腺がんの骨転移検索において医学的に有用であると発表されたことから、さらに期待が高まっています。

一度で全身のがんリスクをチェックでき、被ばくなし、検査薬の注射不要のため、ドゥイブスは体への負担をほとんど感じないといわれます。一方で、ドゥイブスと同様に全身のがん検査として知られるPET-CT検査と比較すると、PET-CTでは写る病変がドゥイブスでは映らないケースがあります。
この記事ではドゥイブス検査のメリット、デメリットは?という疑問について、丁寧に解説していきます。

記事監修ドクター
八王子クリニック/八王子クリニック新町
井藤 尚文 理事長

■略歴
1986年 帝京大学医学部 卒業
〜1990年 帝京大学医学部付属病院 第二外科勤務
〜1994年 板橋中央総合病院 勤務
1994年 医療法人社団斗南堂八王子クリニック開院
2005年 シルバーヒルズ八王子開設 八王子クリニック新町開院

ドゥイブス(DWIBS)とは?検査メリット徹底解説

MRIといえば大きなドーナツ型のスキャナーに頭から吸い込まれていくイメージを思い浮かべる方が多いでしょう。脳の疾患を調べる検査という印象もあるかもしれませんが、近年、情報番組などでたびたび耳にするようになったドゥイブス(DWIBS)は全身MRI検査のことをいいます。

人間ドックやがん検診というと、いくつもの検査を受けて、何時間もかかるから面倒……と感じてしまいがち。しかしドゥイブスはその真逆。知れば知るほど、これからのがん検診はドゥイブスだけでいいのでは?と思えるほど。 まずはその特長を見ていきましょう。

ほぼ全身を一度に調べられる

一般的なドゥイブス検査では、頸部から骨盤部までをMRIの機器に全身を通過させて一度に撮影します。

撮影は約30分、事前安静なし、絶食不要

来院から会計まで含めても1時間程度あれば終了します。よく比較されるPET検査の場合は、検査薬の注射と安静時間を含めると倍以上かかります。

また検査前の絶食が必要ないため、前日夜や当日朝に慌てることもありません。

痛み・被曝・造影剤なし

MRI検査は被ばくの心配がありません。また造影剤を使わないため、アレルギー体質の方や腎機能の弱い方でも受診可能。そして検査は横になっているだけで終わるため、体への負担はほとんどないと言っていいでしょう。

PET検査が不得意な前立腺がんリスクの発見も得意

全身のがん検査ということで、具体的にはPET-CT検査とほぼ同じ、すい臓がん・乳がん・子宮がん・甲状腺がんなどのリスクを調べることが得意です。しかし検査の特性上、PET-CTが不得意である前立腺がんのリスクもドゥイブスは得意としています。検査概要は後ほど解説します。

2020年、保険収載!ドゥイブスの有用性が評価された

東海大学の高原太郎先生(日本医学放射線学会 放射線科専門医)らの研究グループが考案したドゥイブス検査は、2004年に発表されて以降、その有用性に着目した医師によってがん検診などに取り入れられてきました。昨今はメディアでもたびたび取り上げられるほど注目されている検査ですが、これまで受診できる医院はかなり限られていました。

しかし2020年1月、中央社会保険医療協議会(中医協)より前立腺がんの骨転移検索において医学的に有用と評価され、保険収載が承認されました。16年の歳月を経て正式な加算対象となりました。高原先生によれば、加算が認められるとドゥイブス検査を行う医院が増えることが考えられるとのこと。 がんのリスクチェックはもちろん、がんの経過観察にも、今後ますますドゥイブスが活用されていくことでしょう。

出典:厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第446回)議事次第」令和2年1月22日/○医療技術の評価について[総-1-3]

参考:note高原太郎「御礼 全身MRI保険収載(DWIBS法)

弱点は?「全身がん検査」ドゥイブスとPET-CT特徴比較

一度の撮影でほぼ全身のがんリスクを調べる検査といえば、PET-CTも知られています。ドゥイブスとPET-CTの大きな違いは、撮影の仕組みです。以下に検査特徴と選択とポイントになる点を簡単にまとめます。

 PET-CT検査 

正常な細胞と比較すると、がん細胞はブドウ糖を非常に多く消費して分裂を盛んに繰り返すという性質があります。PET-CTはこの性質を利用した検査のため、ブドウ糖に似た検査薬「FDG」を受診者の体内に投与してから撮影します。FDGが多く集まった部位に、がんが発生している恐れがあると判断されるのです。

しかし、FDGは活発に動く臓器に集まりやすいことから、早期の胃がんや前立腺がんの検査には不向きです。また糖の代謝を見ていることから、血糖値の高い方は診断精度が低くなることが考えられます。

 ドゥイブス(DWIBS/全身MRI検査) 

正常な細胞同士は間隔が広いため水の動きが速いのですが、がん細胞同士は間隔が狭いことから、水の動きが遅くなります。ドゥイブス検査とは、この水のスピードの違いからがん細胞を探すという仕組みです。電磁気を受診者の体に照射し、水の動き(速度)見てがん細胞の有無を判断します。 検査薬を用いないため、検査費用はPET-CTよりも安価で、アレルギーのある方や糖尿病の方でも受診できます。そして前述のとおり、PET-CTでは不得意な前立腺がんリスクの発見も得意としています。

しかし肺や心臓周囲、消化器系の病変検出は苦手とされています。また検査機器の特性から、受診できない方もいますので注意が必要です。次の段落で解説します。

注意:ドゥイブス検査を受けられないケースがある

ドゥイブスは体に負担がほとんどない、受診者にとってメリットだらけとも言える検査。しかしMRIという検査の特性上、受診することができない方がいます。事前にしっかりと確認し、少しでも不安なことがある場合は医師と相談のうえで検査に臨んでください。

  • 心臓ペースメーカーや人工内耳を装着されている方
  • 金属プレートなどが埋め込まれている方
  • 狭いところが苦手な方
  • タトゥーやネイルアートをしている方は要事前相談(塗料やパーツに金属が含まれている場合があるため)
まとめ|ドゥイブスは受診者メリット豊富な全身がん検査
ドゥイブスは痛みや被ばくなど、体への負担がほとんどない、短時間で全身を一度に撮影できる画像診断検査です。検査前の準備もほとんど必要ないことから、忙しい方でもスムーズに受診できる検査といえます。もちろん、どんな検査にもメリット・デメリットはありますので、禁忌事項も確認したうえで自身の健康管理に役立ててください。

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